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きりこについて [本]


きりこは、ぶすである。

 ~きりこについて / 西加奈子著~

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この本の書き出しは衝撃的だった。
それからその後しばらく続くきりこの容姿の描写
きりこのことを初めて見た大人達の驚きと心の中の声
そして、この気持を悟られてはいけないと取り繕い
心と裏腹な言葉を発して
自分の子供の心を混乱させてしまう姿・・・

どれもあけすけに書かれていてビックリしてしまう。
私達の身の回りでも起こっている出来事、
だけど皆が必死に隠そうとしていることが
遠慮なく書かれているのだ。

はじめは胸が痛くなってしまった。
~それは自分の中にも人を外見で見ているところが
確かにあると自覚させられる痛みでもあった~

けれども、これまで生きて来た中で
何かが違うのでは?と小さな違和感を抱きつつ
深く追求してこなかった様々な事について
改めて考える機会を与え
心を大きく動かしてくれた物語だった。

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大好きな男の子に
「やめてくれや、あんなぶす」と言われた日から
きりこを取り巻く世界が
手のひらを返したように変わってしまう。

パァパやマァマの愛情を一身に受け
自分は自分である
という事実を素直に受け止めていたきりこだった。
彼女が赤ちゃんの頃から二人がずっと言い続けている
「世界一可愛いきりこ」という心からの言葉に加え
周りの大人達が同情の気持から苦し紛れにかける
誉め言葉のシャワーを浴びて育ったきりこは
自分が世界から愛されていることを信じて疑わなかった。

だから状況が一変してしまった時
ぶすとは一体どういう事なのだろう?と本気で悩む。
全く分からないのだ。
そもそも可愛い・醜いの一般的な基準がどこにあるのかさえ
考えたことも無かったのだから・・・

そしてそう言われた途端
人から辛くあたられるようになった理由も分からない。
人が自分以外の人とどう接するかを決める時
外見が判断材料になる事があるなどと露ほども思わず
自分の友達の顔に対しては
”それがその人の顔である”という事実以外に
何の意味も与えていなかったからだ。
それがきりこがきりこたる所以なのである。

”彼女は外見で人の価値を決めない”
そんな陳腐な言葉ではとても片づけることができない。
きりこにとっては自分は自分であり
友達の○○ちゃんは他の誰でもなく○○ちゃんであること
ただそれだけが大切な事実だったのだ。

きりこは(猫達もだが)
自分にとって価値あるものが何かを知っている。
知らないのは何故それが分かるのかという、一点だけなのだ。
ただ、価値あるものが周りの人のそれと違っていたがために
みんなの言っていることが理解できず
苦悩は深まるばかりだった。

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パァパとマァマに加えて
きりこが楽しかった時も辛かった時も
ずっとそばに居て支えていたのが黒猫のラムセス二世だ。

ラムセス二世はいつだってきりこそのものを見て愛していた。
そして、きりこが猫の世界においては大変優れた人間であり
それがどんなに誇らしいことか生き生きと話してきかせた。
~実際町内の猫達はきりこに憧れ、彼女をうっとりと見つめるのだ~

そしてきりこが他の登場人物との繋がり・出来事を通して
再び自分自身を発見し、理解する時が来るまで
余計な事は一切言わずに見守った。

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最後にラムセス二世が
人間界の動物にまつわることわざについて
特に”猫”がつくそれらの使われ方について苦言を呈していた。
それはユーモアに満ちた名文だった。

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立春 [幸せの種]


節分を経て
今日からまた新しき流れの中に・・・

まだまだ寒い日々が続きますが
あたたかな季節に向けての準備は着々と進行中なのだと
小さな春を見つける度に嬉しくなります。

心のアンテナを縦横無尽に張り巡らせ
新しい命の息吹を感じてみる
葉を落とした木々の美しさにハッ!とする
小さな生き物達がたてる音に耳を澄ましてみる。

生命活動が加速するこの季節
小さな変化に気づけるように
ゆっくりゆっくり歩きます。

http://tukinosizuku.tumblr.com/post/110066462054/spring-it-was-already-there



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